「しくみとものづくりの学校」のねらいと「STEM教育」

「STEM教育」ってご存知ですか?

STEM教育(ステムきょういく)とは、”Science, Technology, Engineering and Mathematics” すなわち科学・技術・工学・数学の教育分野を総称する語である。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/STEM%E6%95%99%E8%82%B2

子供たちの「理科離れ」が叫ばれるようになって久しいですが、この科学離れ、モノづくり離れに対応するために、理工系分野の教育をもっと推し進めて行きましょうということですね。

2020年度から小学校で必須化されるプログラミング教育も、このSTEM教育の一環ということになるかと思いますし、先日報道されていた、全大学生へのAIの初級教育の要請などもこれに関連していくかと思います。

情報化が進み、スマホ、PC、インターネットが日常生活の中であたりまえに使われ、今後IoTやAIなど技術の進展や社会での活用がどんどん進んでいく中で、日本はこの分野が世界から立ち遅れている実情があります。

その昔、日本の製造業は世界をリードしていました。世界中に「made in japan」があふれていた。しかし今では、GAFA( Google、Amazon、Facebook、Appleの頭文字をとったもの)が台頭し、中国や韓国や台湾や東南アジア諸国にリードされて散々な状況。さらに、すでに広がりつつある、ロボットや自動運転といった、AIやIoT、ロボティクスで、産業や経済の主導権を握れそうにない。どんどん世界から遅れていってしまう。
という、非常に「ヤバい」状況です。

これに対抗するために、国際競争力を持った最先端の人材強化を、小学校から取り組んでいきましょう、そのために小学校から「プログラミング教育」をしていきましょう、ということなのですが、「コンピュータプログラミング」を実際に経験したことがない人のほうがおそらく多いであろう現状で、いきなり小学校でプログラミングが始まってしまうと、小学生を持つ親御さんたちの一部にはどう対応したらいいかわからず、とても不安に感じているという話も漏れ聞きます。

この必須化の動きや保護者の不安に対応するためでしょう。学習塾やスクールなど民間の教育機関の一部でも、「プログラミング教室」がすでに開講されていて、一部では満席になっているような話も聞いています。すでに世の中、動き始めています。

プログラミング教育は「プログラミング的思考」を育成するため。

実際のところ、「プログラミング教育 」を直接的にとらえれば、「パソコン・スマホを使いこなし、プログラミングがバリバリ出来て、AIやIoTをどんどん活用していく姿」を思い描くするわけですが、いきなりそこをストレートに攻めなきゃいけないか、というと、「そんなことはない」と考えています。

文部科学省などにも情報はありますが、小学校における「プログラミング教育」は、「プログラミング的思考を育成する」、つまり、思考力(特に論理的思考力)、判断力、表現力を付けるための手段として各科目の中に取り込んで行きましょう。ということなんです。

平成28年6月16日 小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議

小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)

文部科学省ホームページより
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/122/attach/1372525.htm


「自分で考えて、自分でやってみて、何がしかの結果を出す」こと。

この「論理的思考力、判断力、表現力」を、もっとシンプルに表せば、「自分で考えて、自分でやってみて、何がしかの結果を出す」事だろうと考えています。そしてこれって、あえてコンピュータでプログラミングしなくても十分にできると考えています。
日々の生活の中で、すでに身の回りにあるものでも十分に取り組むことができますし、直接的に「プログラミング」に興味・好奇心がなければ、身近なものから取り組んでおいた方が、敷居が低く、とっつきやすく、取り組みやすくていい。さらに学校や勉強でなく「遊び」の中でも十分に対応できます。そう考えています。

パソコンは道具で手段です。

パソコンは「道具」で「手段」の一つです。それは、何かの問題を解決するためにあるものです。そして、子供たちはすでに、意外と上手に使っていると思います。

例えば私の子供たちを見ていても、親などから特別に使い方を教えたことはないのに、使わせているスマホ、タブレットを使って、興味関心があるものを自分なりの方法で調べてます。
末娘は今度小学校5年生で、まだタブレットのキーボード入力はうまくできないようですが、音声検索に言葉で問いかけて、自分の見たいYoutubeの動画を探しています。自分の作りたいものの情報は、そうやって自分で手に入れてます。

プログラミングは「ものづくり」そのものですよ。

私はプログラマもやってましたし、平成の初めころから30年近く情報系の専門学校で情報教育に関わってきましたので、その経験から言えば、プログラミングは「ものづくり」そのものです。そして、人手と手間と時間のかかる、かなり地道な作業です。なので、プラモデルでも折り紙でも、何か自分で作ることに「ハマった」たことがない人にはかなり厳しいよなあ、思っています。

例えば、 ゲームプログラミングってかなり大変な作業です。五目並べのような、簡単に作れそうに見えるゲームですら、かなりの技術と論理が必要です。
今ではゲーム開発も開発環境など生産性が高められていて、昔と比べると高度なことが簡単に早くできるようになってはいるようですが、それでも大変です。

「アプリのゲームが楽しかったので、自分も作る人になりたい」という学生が学校に来たりしますが、そんな学生の中には、ゲームの楽しさは経験していてもモノづくりにはあまり経験がなく、途中で脱落することがあります。 ゲームの中でのアイテムとか武器の組み合わせや、戦い方を「自分で工夫した」という学生もいましたが、それはあらかじめゲームアプリ内で想定されていることで、バーチャルでもあり、実際のモノづくりからはかなり遠いよなあ、と思います。

なので、どう作ったらいいかが ある程度でも想像できる人 、実際に思ったようにうまくいかないとしても試行錯誤しながら何とか形にしようとする人
(大体は思ったようにはいかないです) 、そしてそれに意地になったり没頭できる人でないと、「プログラマ的」なコンピュータプログラミングはかなり厳しいと思う。

思ったようにいかなくて、かなりあっさり「ツンだオワった」と投げ出してしまって、最後には「ブラック」とか言われてしまう。負け惜しみなんでしょうけどね。(人を人と思っていないブラック企業を肯定するものではありませんので念のため)

まずは身近なものでやってみませんか?

なので、まずは、それこそ紙工作でも簡単な料理でもいいので、「自分で思い立って、自分で考えて、自分でやってみて、何がしかの結果を出す」事を体験しておくことが大切だと思っています。

それは、モノづくりのプロセスを知っておくことだったり、自分の望むものを作ろうとした結果どうなるのか、という体験だったり、あるいは、そもそも自分がモノづくりに向いているかどうかだったりしますが、いずれにしても、自分の身近なもので、いろいろやってみることが、まずは大切だろうと考えるわけです。

「しくみとものづくりの学校」が、プログラミング以外にもいろいろなものづくりの経験をしてもらおうというねらいは、ここにあります。

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